(立花 志音:在韓ライター)
韓国大統領選挙は投票日まで2カ月を切った。既に泥仕合の様相を呈しており、最近も保守系政党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補の妻である金建希氏が経歴詐称で謝罪に追い込まれた。
しかし、面白いのはその後の国民側の反応である。極端に言うと、「謝罪の時の姿がかわいかった」ので許されたのである。謝罪会見時の黒いスーツに内巻きのミディアムヘアで清楚な姿を演出したからであろう。その写真は一気に朝鮮半島を駆け抜けた。
金建希氏については、政党の人選に介入したという疑惑が持ち上がっている他、彼女と記者の通話内容が流出したなどとの話も出ている。ただ、金建希氏がメディアで報道されるたびに、ファンサイトの会員数はうなぎ上りで増加。1月20日の朝の時点で会員数は3万5000人を突破している。まるでジャンヌダルクが韓国に登場したかのようだ。
中学生の息子にまで「選ぶ人がいない」とコケにされた大統領選挙は、意外なところでフィーバーしている。大韓民国の未来を本気で心配している国民はあまりいないようだ。
「ユダヤ人が2000年間、国と土地を追われているのは、イエスキリストを十字架に付けたからなの?」
いきなり息子が聞いてきた。息子は都市伝説が大好きで、好奇心をくすぐる動画を見つけるたびに、筆者に疑問をぶつけてくる。今度は何を見て、何を疑問に思ったのか。
「まぁ、クリスチャンはそう考えている人が多いかもね。イエス様に罪はないと言ったピラトに、イエス様を有罪にしろ、その血に責任を負うと言ったのはユダヤ人だからね・・・」
筆者は、学生時代に学校の礼拝で聞いた話を思い出しながら答えた。