人手不足がいよいよ深刻化している日本。来年の春闘でベースアップが加速するのは確実(写真:ロイター/アフロ)

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近年の賃金動向を振り返る

(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

 岸田政権は賃上げ企業に対する法人減税や看護・介護・保育の公的価格引き上げなど、賃金上昇を促す政策を打ち出している。2022年春闘に向けては、企業に3%の賃上げを要請する模様だ。賃上げは実現するであろうか。まずは、近年の賃金動向を振り返ってみよう。

 賃金動向を把握できるマクロ統計としては、国税庁が公表する民間給与実態統計調査、厚生労働省が公表する賃金構造基本統計調査、そして同省が公表する毎月勤労統計調査の主に3種類が挙げられる。

【参考資料】
民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm)
厚生労働省が公表する賃金構造基本統計調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)
毎月勤労統計調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html)

 3統計とも1人当たり給与の時系列データが公表されている。民間給与実態統計調査では名目賃金(現金給与総額)、賃金構造基本統計調査では基本給(所定内給与)の長期にわたる年次データが得られる。

 毎月勤労統計では、両統計に比べてやや期間が短くなるもの、名目賃金およびその内訳である基本給や残業代(所定外給与)、賞与等(特別給与)について年次や月次のデータを得ることができる。

※民間給与実態統計調査の平均給与は1年間勤続した人、賃金構造基本統計調査の賃金(所定内給与)は5人以上事業所の一般労働者(フルタイム労働者)を対象としている。毎月勤労統計の現金給与総額の方は、30人以上事業所の常用労働者、所定内給与は5人以上事業所の一般労働者が対象だ。