2021年11月23日、韓国の全斗煥(チョン・ドファン)元大統領が死去した。90歳だった。
陸軍士官学校の同期で大統領職を継承した盧泰愚(ノ・テウ)元大統領の死去からわずか1か月だった。
韓国経済にとってはきわめて重要な時代に大統領に就任し、空前の好景気を演出した。
7年半も大統領の座にあった90歳の元独裁者の死去。生前には強い批判を浴びたが、死亡ニュースでは功罪をそれなりのバランスで紹介するのか。そう思ったが、そうではなかった。
死んでもなお強い批判
どのニュースも、「罪」が大半だった。
与野党を問わず、政治指導者の弔問も少なかった。ほとんどの経済団体も沈黙した。
遺体が安置されている病院前にはデモまであった。
全斗煥氏は晩年になっても、多くの市民が犠牲になった光州事件などについて謝罪の言葉を口にすることはなかった。
多額の追徴金を未払いのまま放置し、一方で昔の側近と会食したり、ゴルフに興じる姿がメディアに出て、最後まで国民の反感を買ったまま世を去ってしまった。
寝たきりになった盧泰愚氏は、家族を通して光州事件について謝罪し、追徴金を全額支払った。
だから、功罪取り混ぜた報道になり、政府が関与した葬儀になった。これとは対照的だった。