交通事故遺族の現実

 父が息を引き取った直後、私たちは病院で警察から、事故の過失は父の方にあると告げられ、大きな衝撃を受けました。

 母は、父が突然亡くなったショックに加え、病院で警察官に言われたその言葉が受け入れられず、精神的なダメージを受け、精神科に通院しなければならないほど追い詰められました。事故現場へ足を向けることはもちろん、働くことさえできなくなってしまったのです。

 また、事故当時小学生だった末の妹にとっても、大好きだった父を失ったショックはあまりにも大きく、この思いがいつまで影響するのか、その気持ちは計り知れません。

 大切な家族を失うということが、いかに遺族に精神的な苦しみを与えるかを知っていただきたいです。

在りし日の仲澤勝美さんと家族(遺族提供)
故・仲澤勝美さんの4人の子どもたち。裁判所前で(筆者撮影)

 なにをしても、どこまでいっても、父が戻ってくるわけではありませんが、これから始まる民事裁判の中で、本当の事故の原因を追究し、さらに交通安全のための活動に取り組んで、父の教えの通り「人の役に立てる人間」になりたいと思っています』