麻原彰晃(右。写真:AP/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 北朝鮮が日本海に向けて飛翔体を発射したのは1月5日のことだった。北朝鮮はこれを「極超音速ミサイル」として発表したが、韓国国防省関係者は否定している。

 奇しくも、同じ日の日本経済新聞の朝刊1面トップには『ミサイル防衛、対中抑止へ次世代技術 防衛省/レールガン、極超音速兵器を迎撃 日本の高度素材活用』という見出しが踊っていた。

 防衛省がミサイル防衛の立て直しに、迎撃ミサイルを使った現行システムの強化に加え、「レールガン」の実用化と敵基地攻撃能力を念頭にした長射程ミサイルを装備するという。

かつてはSFの世界の兵器だった電磁力を利用した超音速兵器

 私はこの「レールガン」の記載に、ひっくり返るほど驚かされた。記事にはこうある。

「レールガンと呼ぶ技術を20年代後半に実用化する計画だ。リニアモーターカーのように電磁力を使って弾を発射する。実用に近い試作機をつくる費用として22年度予算案に65億円を計上した。

 火薬の燃焼を利用するミサイルより高速なうえ、理論上はもっと低いコストで連射もできる。一般的なミサイルの初速は秒速1700メートル程度だが研究段階で同2300メートル近くを達成した。

 念頭にあるのは音速の5倍超で軌道を変える極超音速兵器だ。従来の弾道ミサイルが放物線を描いて飛び、経路が予測しやすいのと比べて迎撃が難しい。中ロや北朝鮮が開発で先行する」

 補足すると「レールガン」とは、導電性のある素材で造られた2本のレールの間に、やはり導電性のある弾を挟み、大量の電流を流して磁場を発生させて発射する。「フレミングの法則」で弾の推進力を生み出す。モーターや発電機などに使われる技術が基礎にある。

 この件を毎日新聞は『防衛省、レールガン開発に本腰 SF・アニメが現実に?』との見出しで伝え、SFアクション映画『トランスフォーマー/リベンジ』でも登場していたことをたとえに「過去、あくまでフィクションの世界の兵器だった」としている。