(北村 淳:軍事社会学者)
岸田政権・自民党などが表明している、いわゆる「敵基地攻撃能力」(我が国を弾道ミサイルによって攻撃しようとする敵の発射手段を攻撃して対日攻撃を事前に封殺してしまう能力)を自衛隊に付与して、我が国の国防態勢を強化しようという方針は、方向性としては妥当と言えよう。
なぜならば、前回の本コラムで触れたように、受動的弾道ミサイル防衛戦力しか保有していない現状に能動的弾道ミサイル防衛戦力を付け加えれば、外敵が対日攻撃をためらう可能性がわずかながらにしても生ずるからである。
(前回記事)「方針は妥当だが実現可能なのか?『敵基地攻撃能力』の構築」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68104
ミサイル固定発射台の破壊だけでは不十分
しかしながら最大の問題は、そのような戦力を構築することが、それも可及的速やかに構築することが果たして実現可能なのか? という点だ。