能力は抜群だが仲間が少ない石破元幹事長

 石破については、私は同じ閣内で仕事をした。私は第一次安倍改造内閣、福田内閣、麻生内閣で厚労大臣を務めたが、彼は福田内閣では防衛大臣、麻生内閣では農林水産大臣であった。そのときに間近で彼の仕事ぶりを見たが、政策能力については抜群であり、国会での答弁も問題はない。しかし、党内での人望に欠けることが最大のアキレス腱である。石破派は16人しかおらず、自前で20人の推薦人を揃えることができない。

 自民党の国会議員すべてがIQが高く、政策立案能力に秀でているわけではない。常に、理詰めで議論されると、自分の無知に劣等感を抱き、反感を持つ議員が増えてしまう。それを解消するためにも、食事会などでの付き合いが必要である(今はコロナ感染対策上できないが)。その点での配慮に欠けるのが石破である。

 どうすれば敵を少なくするか、その点での目配りが必要である。

強い政策志向が見られなくなった野田幹事長代行

 野田については、バランスの取れた政治家として、また女性初の内閣総理大臣候補としての評価は高いが、まずは20人の推薦人を集められるかどうかが問題である。閣僚経験など問題はないが、郵政民営化に反対したときのような強烈な政策志向が最近は見られない。その意味で八方美人になったのかもしれない。

 ただ、選択的夫婦別姓には賛成であり、高市と対極的な姿勢である。これは、自民党の多様性を示すものである。

 9月4〜5日に行われた共同通信世論調査では、「次期首相にふさわしい人」のランキングは、①河野太郎31.9%、②石破茂26.6%、③岸田文雄18.8%、④野田聖子4.4%、⑤高市早苗4.0%となっている。

 また同時期に行われた読売新聞世論調査は、①河野太郎23%、②石破茂21%、③岸田文雄12%、④高市早苗3%、⑤野田聖子2%である。

 候補者よりも、安倍、麻生、二階といった長老たちの動きに注目が集まる総裁選であるが、次期首相を選ぶ大切な選挙である。各候補の政策をじっくりと見極めるべきである。