党内きっての超保守派・高市前総務相

 9月8日、高市早苗前総務大臣が出馬を表明した。彼女は、自民党内でも超保守派であり、安倍晋三前首相が支持しているのも、思想信条が近いからである。定期的に靖国神社に参拝することがその典型である。敵基地攻撃能力の保有にも前向きで、法整備の必要性を唱えている。皇位継承については、男系天皇の伝統を堅持することを力説している。

 また、アベノミクスを継承・発展させるとして、金融緩和、機動的な財政出動、危機管理投資・成長投資を3本の矢とする「サナエノミクス(日本経済強靱化計画)」を打ち出している。さらに、コロナ対策としては、都市封鎖を可能とする法整備の検討をあげている。

 保守的政策は、選択的夫婦別姓や同性婚に反対する主張にも鮮明に出ている。この点については、女性有権者の反発を買うのではないだろうか。女性初の内閣総理大臣というのは歴史的快挙かもしれないが、多様性を否定する政策が女性の社会的進出を妨げるようでは意味がない。

 女性蔑視発言で森喜朗会長が五輪組織員会のトップの座を降ろされたり、不適切な言動で関係者が辞任したりする騒動が起こった。世界も日本も時代は大きく変転しているのであり、その流れに抗うことが日本国民の幸せにつながるかどうかは疑問である。

森友問題では腰引けたがコロナ対策は評価できる岸田前政調会長

 岸田文雄前政調会長は早々と手を挙げ、政策の発表も行ってきたが、温厚な性格も影響して存在感が薄いのが難点である。

 岸田は、菅首相がまだ出馬する方針であった8月26日に出馬会見を行っている。その中で、世間の注目を集めたのは、権力の集中と惰性を防ぐとして、党役員の任期を1期1年、連続3期までとする改革案を打ち出したことである。これは二階俊博幹事長への挑戦状であり、二階が不快に思ったことは確かである。

 政治とカネの問題については、説明責任の重要性を強調したが、9月7日には、森友問題を巡る財務省の決裁文書改竄について、再調査しないと表明し、世間で失望感が広まった。これは、安倍陣営からの反発を避けるためである。二階幹事長と対立した以上、岸田は、安倍や麻生太郎副総理の支援を調達する必要があり、そのためのトーンダウンだと見られている。

 注目すべきは、岸田のコロナ対策である。国民の最大の関心事がこの問題であることを意識し、病床や医療人材の確保、治療薬の開発・普及、ワクチン接種の促進などの政策を細かく述べている。私は、国立病院機構(NHO)、地域医療機能推進機構(JCHO)の病床が十分に活用されていないことを再三指摘してきたが、その活用を主張したことは評価できる。

 石破茂元幹事長や野田聖子幹事長代行は、まだ正式な出馬表明はなく、その政策も定かではないので、簡単なコメントに止めておく。