今も大車輪で働かなくてはならないワクチン担当相、総裁選に出馬している場合なのか

 目下、世論調査なので有権者の期待を最も寄せられているのが、河野太郎ワクチン担当相だ。だが、河野大臣の総裁選出馬には正直、首を傾げざるを得ない。

 菅首相は、コロナ対策に専念するためとして、総裁選に出馬しないことを決めた。それならば、ワクチン担当の河野大臣が出馬するというのは論理的ではない。2回の接種を終えた人は9月9日現在で49.18%であり、欧米先進国よりも少ない。とくに若い世代へのワクチン接種が遅れている。それは、河野担当の責任なのである。菅首相が不出馬ならば、菅内閣の閣僚で、しかもワクチン担当大臣は出馬すべきではあるまい。

 立候補の意向を固めていた下村博文政調会長が、菅首相に今の職務と立候補は両立しないと一喝され立候補を取りやめたが、菅首相は同じ反対論を展開しないのだろうか。反対するどころか、河野支持に回るというのは、どう考えても説得的ではない。しかし、河野は10日、出馬を表明した。

 河野大臣については、様々な問題がある。端的に言って、彼は自民党内で異端児として注目を集めてきた。その意味で、党の本流からは外れた政策を繰り広げてきた。リベラル過ぎると言ってもよい。

 たとえばエネルギー政策である。自民党の政策は原発を主要な柱として位置づけている。河野は反原発である。今は、総裁選を念頭に主張を弱めているが、基本は変わっていない。それは財界が嫌うところであり、財界で反対論が強まる可能性がある。

 皇室のあり方についても、女系天皇に反対しないとの立場は、党内保守派の反発を買っている。河野は、皇室の存続を第一に考えていると言うが、右傾化した自民党内での評判は芳しくない。

 さらには、官僚機構との関係が問題である。霞が関には改革が必要であるが、役人を対抗勢力に見立てて攻撃するだけでは問題は解決しない。官僚は、河野の姿勢に対して反発し、抵抗をさらに強めるであろう。ワクチン接種が順調に進まないのは、厚労官僚が河野の指示通りに動かないからである。この人には「アメとムチ」のさじ加減が分からないようである。今の姿勢では、首相になっても政策の実現は難しいであろう。