真実がわからない苦しみ、これ以上増やさぬために

 実は、最近になって偶然、1冊のノートの中に優空くんの書いたこんな日記が見つかったという。

 そこには、お母さんの問いに対して、こう書かれていた。

「いつ」 きょう

「どこで」 うちのちかくのどぶで

「誰が(だれと)」 Rちゃん(*近所の1年生の女の子)と

「なにをした。どう思ったか」 さかなをつかまえていた。たのしかったです。くさいのでもういきたくないです。ママにおこられたのでもういきたくないです。

「これは優空が亡くなる3日前に書いたものです。1年生のRちゃんという女の子と遊んだどぶの水深は、せいぜい10センチ程度です。それでも、『もういきたくない』と書いています。我々遺族は、顔を水につけるのも苦手だった優空が自ら川に入り、1人で泳いだということに今も強い違和感を持っています」

 あの日から間もなく二年が経とうとしている。

 岡林さんは語る。

「ありきたりな言葉ですが、三回忌を前にして、家族で一緒にいられる平凡な日常がどれほど尊い時間だったかをかみしめています。優空には、これまでたくさんの署名をして下さった皆様、また、生前関わった皆様の記憶の中でも生き続けて欲しいと思っています。この夏も水難事故が相次いでいます。残された僕たち遺族の願いは、同じような水難事故が一件でも減ること、そして、真実がわからないまま苦しみ続ける遺族をこれ以上増やしたくないということです。一市民の声は小さいかもしれませんが、僕たちの体験を通して、その願いが届くよう頑張っていきたいと思います」

墓前で手を合わせる岡林さんと弟(遺族提供)

<関連サイト>
高知小学生水難事故 記者会見(令和元年11月11日)
https://youtu.be/AEhacu9-Vjo