軍によるあのクーデターから5カ月が過ぎた。それに伴い、日本での報道もかなり減少したが、いまもミャンマーでは、軍や警察と、反軍政を唱えて抵抗運動を続けている市民や少数民族武装組織との衝突が続いている。いやむしろ激化していると言っていい。
現地の反軍政メディアによると、7月に入ってから中心都市ヤンゴンや地方都市で爆弾による爆発事案が多発している。おそらく民主派勢力によるものだ。これに対し軍も攻勢を強め、武装した市民組織と衝突、本格的な戦闘で市民側に多数の死亡者が出ている。
背景には、身柄拘束中のアウン・サン・スー・チーさんやウィン・ミン大統領ら与党「国民民主連盟(NLD)」関係者と少数民族代表などで組織した「国民統一政府(NUG)」とが組織した「国民防衛隊(PDF)」の存在がある。このPDFは、軍の過剰暴力、人権侵害、虐殺などに対抗するため、市民に武装を呼びかけているのだ。
その呼びかけに応じる動きが市民の間に急速に広まっている。ヤンゴンや中部都市マンダレーなど主要地方都市では、学生や若者らが、国境周辺で軍政と長年に渡って紛争を続ける少数民族武装組織に合流して軍事訓練、戦場での救急救命措置などを学び、さらに供与された武器をもって各都市に戻って軍や警察と武力衝突するケースが増加している。
勢い、この武力衝突で命を落とす人も増えている。人権団体などは2月1日以降、軍による反軍政市民の犠牲者は合計で892人に達しているという。
各地で続く爆弾攻撃や衝突
ミャンマーの反軍政メディア「ミッジィマ」などによると、7月1日午前1時ごろ、タイ国境に近いミヤワディの「タイ・ミャンマー友好橋」付近で銃撃戦があり、兵士2人が死亡した。
2日午前6時45分ごろにはヤンゴンのバゴ地区で軍政支持の市民が何者かに銃撃を受けて死亡した。
また同日午前7時ごろにはザガイン地域のデパイン村付近で、約200人の軍部隊と同地方のPDFが衝突。激しい戦闘の末、PDFに参加していた学生ら41人が殺害されたという。軍側も兵士15人が死亡し、負傷者が出ていると伝えている。