軍艦島の内部を歩く坂本道徳氏(写真:著者提供、以下同)

『恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島』

 これは韓国で出版されている児童向け絵本のタイトルである。長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を訪れた主人公が蝶々に導かれ、当時の軍艦島で生活した朝鮮の少年に出会う。そして、朝鮮の幼い少年たちが軍艦島に強制連行され、鉄格子に閉じ込められ、地下炭坑で苦しい労働を強いられ、虐待され、拷問を受け、爆発事故で命を失う──という救いようのない物語を回想している。

 あとがきには、飢え死にした少年の話とともに、「私たちの歴史、私たちが正しく知らねばなりません」と記されている。

 これまでの連載でたびたび言及しているが、軍艦島にそのような事実はない。そして、絵本は本来、楽しく、夢があり、絵を見ているだけで癒される、子供の教育の手本になるべきものである。

・1回目「石炭を掘るためだけに存在した軍艦島が語る未来」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64178)
・2回目「今も色鮮やかによみがえる軍艦島での日常生活」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64267)
・3回目「『地獄の島』の汚名を着せられようとしている軍艦島」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64576)
・4回目「廃墟と化した軍艦島はなぜ世界遺産に登録されたのか」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64695)
・5回目「軍艦島の『世界遺産化計画』につながったある出会い」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64702)
・6回目「『無謀』と言われた軍艦島の世界遺産登録、その裏側」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64970)
・7回目「軍艦島の世界遺産登録を妨害した韓国の誹謗中傷」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65089)
・8回目「当時の住民が証言する、軍艦島・朝鮮人強制徴用説の虚構」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65373)
・9回目「軍艦島での徴用工虐待を叫ぶ具然喆を放置すれば慰安婦の二の舞に」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65576)

 韓国の反日はどんな手段も許されるようだが、名指しされた軍艦島(端島)の元島民にとってはたまったものではない。絵本という手段でフェイクを表現するなど、断じて許しがたい行為だ。絵本を通して嘘や日本に対するマイナスイメージを植え付けようとする反日主義者の神経を疑う。

韓国で出版された『恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島』

 既に報道されているように、絵本の文面どころか、挿絵にも大きな嘘が滲んでいる。

 軍艦島で朝鮮人の少年徴用工が劣悪な環境で働かされていたとする絵本の挿絵は、終戦直後の東京・品川の浮浪児や日中戦争時に中国の密偵を撮影した写真と酷似している。

 これは、軍艦島の元島民らでつくる「真実の歴史を追求する端島島民の会」や産経新聞の調べで判明した。軍艦島と無関係の写真を基に描いた事実と異なる挿絵を使って、誤った印象を与えようとした可能性がある。