「軍艦島とは無関係な写真を参考にした」と著者

『恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島』というタイトルの絵本はユン・ムニョン氏が文と絵を描き、2016年に韓国の出版社、ウリ教育から発刊された。朝鮮人の少年が軍艦島に強制連行され、45度を超える暑さの中で、連日12時間近く働かされたなど日本の加害性を強調している。日本兵が少年をムチで叩き、朝鮮半島出身者と見られる人が逆さ吊りにされた場面もある。

 問題の挿絵の一つは、10人以上の少年たちが裸で檻に閉じ込められ、鉄格子に寄りかかっている姿などを描いたものだ。端島島民の会の調べによると、1977(昭和52)年出版の写真録『日本現代写真史 1945-1970』(平凡社)に収められた浮浪児の写真と酷似している。昭和21年に東京・品川で撮影され、「狩り込みで少年保護所に収容された浮浪児」という説明がある。

絵本に描かれている鉄格子の向こうの少年徴用工

 さらに、朝鮮人の少年が日本兵から尋問されているという絵も、1937(昭和12)年8月8日に従軍カメラマンが中国で撮影した写真と構図が重なっている。1977(昭和52)年出版『1億人の昭和史10 不許可写真史』(毎日新聞社)に収録されている写真で、「中国軍密偵を調べる憲兵隊と現地採用の通訳」という説明書きがある。

 作者の尹氏は産経新聞の取材に対して、絵本は1983年に韓国で出版された『写真記録 日帝の侵略 韓国 中国』の写真を参考にしたとウリ教育を通じて回答し、軍艦島とは無関係な資料を基にしたことを認めた。ウリ教育は「ストーリーはフィクション」と強調し、「韓国では写真を参考にイラストを描くことは許容されている」と述べた。

 韓国の反日感情は度が過ぎている。無関係な写真を使って絵本をつくるなど、どこまで端島を貶めたら気が済むのか。絵本の回収と謝罪を求めたい。