韓国にある美容クリニックの広告(写真:西村尚己/アフロ)韓国にある美容クリニックの広告(写真:西村尚己/アフロ)

(ステラ・メディックス代表、獣医師/ジャーナリスト 星 良孝)

 この4月、神戸市で開催された第67回日本形成外科学会で、韓国ソウル大学の主任教授、張学氏が講演し、「5月の国際学会はキャンセルせざるを得なかった。秋の国際学会はなんとか開催を目指す」と述べ、その苦境を吐露していた。

 学会が開けないのは、今、韓国で社会問題化している研修医のストライキにより、ベテランの医師が現場を離れられないからだ。

 この問題を細かく見ていくと、日本の医療界とも共通した問題があると気づく。韓国を映し鏡として、そうした日本の医療の未来も考える。

 私はヒフコNEWSという美容医療について中立的なスタンスで扱っているウェブ媒体の編集長として取材を続けている。その中で、美容医療が活況を呈する韓国では、美容医療に医師が吸い込まれる状況が問題になっていることをときおり耳にしていた。

 その視点から見ると、研究医の反乱の背景にも、この美容医療の問題が密接に絡んでいるのではないかと思える。そこで、韓国国内の報道や論文などにも目を通しながら、この背景にある事情をより深掘りした。

韓国のストライキはなぜ起きた?

 韓国で研修医のストライキが発生した発端は、政府の医師増員計画が引き金である。2月には、数千人の研修医が病院での診療を放棄して辞表を提出した。また、ほぼすべての病院の救急部門が機能不全に陥った。

 大病院の手術の50%がキャンセルされたり、骨折のような緊急性のある患者の受け入れが拒否されたりするなどの混乱を来した。その後、政府が研修医の行政処分を開始し、研修医の医師免許停止、研修期間の延長、専門医資格の取得延期などの措置を決めた。

 2月以降、欧米のニュースでも報道されていたが、政府が研修医の免許停止措置に踏み切るまで発展し、この問題はまだ終息に至っていない。欧米や日本国内の報道によると、背景には次のような事情がある。