それもあって、私はかねてから、まずは富士市の方々、そして富士市を訪れた旅人たちに、佐野鼎の存在を知ってほしいと思い続けてきたのです。

 そんな中、念願の大きなプロジェクトが実現することとなりました。

佐野鼎の顕彰碑、JR新富士駅前に

 佐野鼎研究会の代表で、開成学園OBの松平和也氏は語ります。

「開成学園創立150周年を記念して、佐野鼎先生の顕彰碑を建立することが決まりました。設置場所はJR新富士駅のすぐ前です。まもなく着工となり、まだ日程は決まっていませんが、コロナの様子も見据えつつ、今年の夏から秋にかけて除幕式を執り行う予定です。顕彰碑を通して、佐野鼎先生の偉大さを、さらに多くの多くの方に知っていただき、後世に伝えていくことができればと思っています」

 どのような顕彰碑が出来上がるのか、今から楽しみですが、完成した暁には、また本連載でご紹介できればと思っています。

 ちなみに、私の著書『開成をつくった男、佐野鼎』は、開成のOBの方々で結成されている「佐野鼎研究会」と「開成会」から、富士市内の図書館と小中学校地区まちづくりセンターなどに、150冊が寄贈されたそうです。

 また、開成学園では、『開成をつくった男、佐野鼎』が出版されてからというもの、毎年、新入学生全員に1冊ずつ贈呈しているとのことで、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

 佐野鼎にとっても、富士山はきっと生涯にわたって心の故郷であったに違いありません。開成学園と富士市が「連携協定」を結んだことによって、この先どんな広がりが生まれるのか・・・。

 富士市が生んだ幕末の偉人・佐野鼎の生きざま、そして、佐野鼎が幕末期から確信していた、グローバルな視点で「学ぶ」ことの大切さが、多くの人たちに伝わっていくことを期待しています。