連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第43回。新型コロナウイルス感染症の感染がわずかながら再拡大に転じた中、緊急事態宣言が解除された。それが意味することと今後やるべきことを讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が考察する。
 一都三県の緊急事態宣言が解除されました。解除をめぐっては、「もっと感染を抑え込んでからの解除でなければ、すぐにリバウンドが起こる。解除反対」「もはや緊迫感がなくなっているので、緊急事態宣言を続けても効果は薄い。解除賛成」「そもそも緊急事態宣言の再々延長に意味がなかった」などさまざまな意見があり、そのどれもが一定の妥当性をもっています。

 混乱の一因として、3月7日になぜ再々延長して21日になぜ解除したのか、整合性が見えないこともあるでしょう。私自身、解除やむなしと思っていますが、解除が正解だとまで断言することはできず、正直モヤモヤしている部分もあります。

データから整理する解除の意味と今後の見通し

 そこで、データをもとに、解除の意味と今後の見通しを整理してみました(データは3月17日現在の埼玉県のものですが、首都圏ならびに全国でも相当程度共通する傾向があると考えられます)。

【新規陽性者数】 1週間移動平均で見ると、1月上旬から中旬にかけては500人を超えていたが、2月下旬には約100人にまで減少した。しかし、3月初旬からわずかながら再び増加に転じた。現在、レベルとしては12月初旬に相当。

【PCR陽性率】 1週間移動平均で、1月上旬には約11%だったものが、3%台前半まで低下。なお、PCR陽性率とはPCR検査において陽性と判定される人の割合で、PCR陽性率が低いほど、感染者の捕捉率が高い=見逃しが少ない、すなわち検査数が相対的に足りていることを示す。

埼玉県ホームページより