(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

「先生」と呼ぶから思い上がってしまう

 2月19日にテレビ東京で「今野敏サスペンス 警視庁強行犯係・樋口顕」というドラマが放送された。私は今野敏氏、堂場瞬一氏、横山秀夫氏の警察小説・推理小説が大好きで恐らくほとんどの作品を読んでいる。ドラマ化されればかならず見るようにしている。

 2月19日放送では吉田栄作さんが野党の代議士役で出演していた。その吉田さんが警察に事情を聞かれる場面で若い女性刑事が「先生」と呼んだところ、間髪入れずに「先生と呼ぶのは止めて下さい」というセリフがあり、思わず膝を打った。

 私は共産党の参院議員をしていたが、共産党では衆院議員であれ、参院議員であれ、議員同士で「先生」と呼ぶことはまったくなかった。秘書も議員を「先生」とは呼ばなかった。共産党議員は他党議員も「先生」と呼ぶことは、ほとんどないと思う。国会議員も、地方議員も「先生」などではないからだ。

 広辞苑によれば、先生とは、「先に生まれた人」「学徳のすぐれた人。自分が師事する人。また、その人に対する敬称」「学校の教師」「医師・弁護士など、指導的立場にある人に対する敬称」とある。政治家は「指導的立場にある」という意見があるかも知れないが、それは間違っている。