それどころか、中国軍が台湾各地に対空ミサイルや対艦ミサイルを展開し、また台湾の航空基地や海軍基地を使用することになると、日本を拠点とする米軍の行動は大きく制約されてしまう。

 たとえば、米海軍艦艇が、台湾海峡はもちろんのことルソン海峡(台湾とフィリピンの間のバシー海峡、バリンタン海峡、バブヤン海峡の総称)を通航して南シナ海に進入することは極めて危険な状況となる。また、先島諸島(宮古列島・八重山列島)周辺空域やルソン海峡上空域は、台湾からの地対空ミサイル射程圏内となり、米軍機にとっては鬼門となってしまう。

 したがって、大統領選に敗れたとはいうものの、トランプ政権は最後の最後まで台湾への軍事的支援を強化し続けているのである。

台湾を中国が軍事的にコントロールすると台湾周辺への接近は極めて困難になる
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米軍関係者が不安視する日本の親中政治勢力

 台湾防衛はもちろん台湾への武器輸出だけでは全うできない。

 上記のように台湾防衛は、米軍による東シナ海や南シナ海での軍事行動を左右することになるが、とりわけ東シナ海と西太平洋を隔てている南西諸島の防衛と台湾の防衛は切っても切り離せない関係にある。

 そもそも九州から与那国島そして台湾にいたる南西諸島島嶼ラインは、中国軍が海軍戦略上最も重要な「第一列島線」と名付けている島嶼ラインの北半分を意味している。そのため、この南西諸島周辺での自由な軍事活動を「米軍側が維持するのか? 中国軍側が確保するのか?」が、台湾の死命を制することにもなるのだ。

第一列島線(First Island Chain)(出所:Wikipedia)
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