質問者が笑顔で終わるトランプタウンホール

──トランプ大統領はコロナ対応について厳しく問われました。

酒井:NBCの司会者は、タウンホールを中継した1時間番組の最初の20分を使って、トランプ大統領に関する話題のファクトチェックをしました。特に、コロナについては、9月29日の第1回討論会の前には罹患していなかったのか、PCR検査を受けていたのか、などと厳しい質問をしていました。さすがのトランプ大統領も、「毎日検査はしていない」というところまで吐露しました。しかし、優れた医師の診断に任せていると付け加えたので、これでこの話は一段落でしょう。

 一方、第1回討論会についてはトランプ劇場にして討論会を破壊したという批判の声は絶えませんが、今回のタウンホールでは司会者のテンポのいい質問に対して即座に回答しており、高い評価を得たようです。NBCの司会者はハードな雰囲気でABCの司会者とは正反対でした。会場の質問者を見ても、追加質問をかぶせる場面もあり、司会者の巧みな誘導のおかげで、1時間番組を面白いままに終わらせることができたと思います。

──と申しますと。

酒井:質問者は、まだ投票者を決めていない人と共和党支持でも民主党支持でもない人でしたが、後者の中にはどちらかと言えばバイデンが良いという紹介のつく人もいました。バラエティに富んだ内容は面白かったです。

 また、トランプ大統領はエンターテイナーとして質問者をほめるので、質問した人も最後は笑顔で終わっていました。これは、バイデン候補のタウンホールとは正反対でしたね。また、トランプ大統領は話し方が上手く、それが説得力をもたらしていました。参加者がうなずく場面も多かったように思います。

 ただ、トランプ大統領も税金のことなど触れられたくない点については、明快な回答を避けたのは事実で、ここは視聴者も見逃さなかったでしょう。

──前回の討論会は相手の話に割って入るなど、トランプ大統領の対応は批判を集めました。今回はいかがでしたか?

酒井:先ほども少し触れましたが、よくしゃべるという印象は今回も同じでした。ただ、前回に比べればはるかに真摯な態度であったのは事実で、この番組を評価することを求められていた評論家も、一様にその変化をほめていました。真面目にやっていることを証明できたという言い方でしたね。

 恐らく、自分が司会する番組を長らく持っていたNBCとの関係の良さが効いたのでしょう。前回、わざとやった「トランプ劇場」を元に戻すという思惑があったと思います。その意味では、司会者が女性で、十分トランプ大統領を操れる話術とパワーのある人でしたから、トランプ陣営としてはしてやったりということだと思います。