今年11月3日に、4年に一度の米大統領選が実施される。4年前の2016年11月は共和党のトランプ候補が下馬評の高かった民主党のクリントン候補に勝利、世界中に衝撃を与えた。今回、再選に挑むトランプ大統領は民主党の指名を得たバイデン候補と対決する。
その選挙戦の第一弾であるトランプ大統領とバイデン候補によるオンライン討論会が実施される9月29日を前に、今回の大統領選や討論会の見どころと、読者が抱えているであろう疑問を米政治に精通した米国在住の酒井吉廣氏が答える第二弾。(聞き手は編集部)
※第一弾はこちら
──日本にとってバイデン大統領や民主党政権はプラスになるでしょうか。
酒井吉廣氏(以下、酒井):とても大事な質問ですね。日本のメディアも米国在住のジャーナリストの方も、みな「日本にとって」がなくて、漠然と第三者的に見ている気がします。米国民にとってどうかではなく、日本にとってプラスになる方を応援しないと意味がないのに・・・。
2013年に安倍首相が靖国神社を参拝した際、これを批判した国として、中国や韓国よりも、米国が最も激しかったという事実があります。それを主導したのはバイデン副大統領でした。
彼は安倍首相の靖国参拝前に「行くな」と言い、参拝後は「残念だ」ということを個人的な伝達ではなく、大使館を通じた米政府の公式見解として出しました。なお、参拝を阻止しようとした理由は、朴槿恵・前韓国大統領からの依頼(または彼女への配慮)だったと漏れ聞こえてきました。
つまり、彼は日本を大切には思っていないのです。クリントン政権の「フライ・オーバー・ジャパン」と同じように、中国や韓国の方が重要だと考えているのは副大統領時代の経験から言えます。民主党全体としても同じでしょう。
ところが、三大ネットワークでインタビューに答える民主党の大物支持者は、チベット仏教のものを背後においたり、人権問題に言及したりと、自分たちは中国の問題を放置しないぞと言わんばかりの雰囲気です。
要するに、民主党内で足並みが揃っていないのです。あとは中国がどう出るか。オバマ政権時代のように、万が一にもバイデン政権が中国に最接近すると、日本としては大変なことになります。その影響は日本にも跳ね返って来るでしょう。