トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア(写真:ロイター/アフロ)

(谷町 真珠:在ニューヨーク記者)

 トランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア――通称「ドン・ジュニア」――が、米政治の舞台で存在感を増している。

 売りは、父親に引けを取らない過激な保守的な発言だ。11月の米大統領選を前に地方遊説を積極的にこなし、父親の再選をかけた選挙戦で中心的な役割を担う。トランプ家では長年「パパのお気に入り」といえば長女イバンカという構図が定番だったが、政治家トランプの後継としてドン・ジュニアが急浮上している。

地方では父親に劣らぬ集客力

「17歳といえば、みんなバカなことをするもんだろう」

 ウィスコンシン州ケノーシャ市で、黒人が警察官に銃撃された事件に対して抗議活動が広がると、近隣州在住の少年が自警団を名乗ってアサルトライフル持って駆けつけ、参加者2人を射殺する事件が起きた。17歳の容疑者が逮捕されると、ドン・ジュニアはこう擁護してみせた。

 ドン・ジュニア、42歳。趣味はハンティングや釣り。銃所持の権利を重視し、銃規制には反対の立場を取る。トランプ家が経営するフロリダ州の高級リゾートクラブ「マール・ア・ラーゴ」にカムフラージュ柄のハンティングギアに身を包んで出入りする筋金入りのアウトドア派だ。

 4年前、取り残された白人労働者層の不満を原動力に大統領に当選した父親ドナルドだが、地方在住の有権者に取ってドナルドはあくまでも「最高級のスーツに身を包んだ都市部の成功者を代表する存在」だった。だが、ドン・ジュニアは違う。趣味や価値観を同じくする身近な存在として、今や地方の遊説では父親に劣らない集客力を持つ。