恋人と2人でトランプ陣営の中核に

 事業から政治への転向が進む中で、ドン・ジュニアの私生活も大きく変わる。2018年、13年間連れ添い、5人の子供をもうけたセレブ妻と離婚し、FOXニュースの元キャスターで弁護士のキンバリー・ギルフォイル氏と交際を始める。多くの共和党やトランプ陣営の会合に2人は一緒に参加し、2020年のトランプ再選キャンペーンの中核を担うパワーカップルとなっている。

2018年9月、中間選挙で共和党の上院議員候補のマット・ローゼンデール氏の応援のためにモンタナ州を訪れたドナルド・トランプ・ジュニアと恋人のキンバリー・ギルフォイル(写真:The Mega Agency/アフロ)

 一方で、女性票の取り込みに一役買うはずだったイバンカが、うまくその役割を担えていないことが判明し、父親の再選キャンペーンでの存在感は薄い。

「バイデンは、半世紀に渡りワシントンの泥沼に住み続けたネッシー(怪物)だ」「急進左派的なバイデンが大統領になったら、米国経済は冷え込んでしまう」(ドン・ジュニア)

「社会主義のバイデン・ハリス政権が誕生したら、全米がカリフォルニアのようになってしまう」(ギルフォイル)

 8月下旬に開催された米共和党大会にも2人は相次いで登壇し、中道派の民主党候補バイデン氏を社会主義者と決めつけ、カリフォルニアやニューヨークなどの都市部は無法地帯化しているといった保守的な演説を繰り広げた。ニューヨーク出身のドン・ジュニアとカリフォルニア出身のギルフォイルが、非都市部に住む保守層の代弁者を務めるという不思議な構図が続く。

 11月の米大統領選でトランプが再選されるかどうかは分からない。だが、多くのワシントン情報通が「選挙結果にかかわらず、ドン・ジュニアはワシントンにとどまる」と読む。友人らに最近「ニューヨークに戻りたい」と漏らしているとされるイバンカとは対照的だ。

 トランプが万が一敗退したとしても、保守的で排他的なトランプイズムが米国政治から簡単に消えることはないだろう。その継承者の最有力候補はドン・ジュニアだ。トランプ家のなかで、なかなか存在感を見いだせずにもがいていたドン・ジュニアだが、政治に居場所を見つけたようだ。