三者三様の夫婦像、親子像

 女性局からのこの質問への答えにも3候補の人柄が出た。

——みなさんを支えてこられた奥様についての思いをお聞かせください。

石破氏「素敵な人です。私にとってなくてはならない人です。選挙の時も、なかなか地元に戻れない私の代わりに選挙カーに乗ってくれるのは彼女です。同い年で、齢60を超えたので、そろそろ選挙カーには乗らなくいいのではないか、と言ったら、支持者の方への誠意が足りないと怒られました」

菅氏「38歳で横浜市議選に出た時、子供は6歳、3歳、6カ月。一番苦労をかけたのが家内です」

岸田氏「結婚して32年。国会議員になって27年。なかなか帰れない私の代わりに地元を守ってきてくれました。会える時間は短いが、毎日電話はするようにしています」

——子供に対してはどんな父親だったか。

菅氏「3人の息子にとっては、厳しい父親だったと思います。一つだけ言ってきたのは中学、高校では運動部に入って最後までやれ、ということです。勉強はしなくても部活動で人と人の関係だけはきちんとできる人間になって欲しかった」

岸田氏「私も3人の息子がいて、接触できる時間は少なかったが元気に成人してくれて嬉しいと思っている。(大切なことは)言葉ではなく背中で伝えたいと考えてきました」

石破氏「2人の娘には、泣いている子がいたら、どうしたの?と言える子になってほしいと願ってきました。妻が自宅に選挙のポスターを貼っていて、家に帰った時に、ポスターの人が来た!と言われ、愕然としたこともあります」

 この日、3候補が回答した18問のうち、事前に内容が伝えられていたのは代表質問の4問のみ。14問の自由質問への回答はアドリブだった。ここで取り上げた質問は全て自由質問である。「当意即妙」という意味では、石破氏のウィットが際立った。討論会だけで総裁を選ぶなら石破氏の目もありそうだが、やはり政治は数である。ポスト安倍の新政権で「光秀・石破」がどんな役回りを果たすのか。注目したい。