自民党総裁選の出陣式に出席した菅義偉官房長官(2020年9月8日、写真:ロイター/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国のメディアや国際政治の専門家、研究者は日本の次期首相候補の菅義偉官房長官をどうみているのか──。

 安倍晋三首相の辞任表明による自民党の総裁選は9月8日に告示されたばかりである。出馬は予想どおり、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3人となった。現時点では勝者が誰かを断じることはできないが、自民党内の主要派閥の支持を得た菅氏の勝利がほぼ確実とされている。

 米国では、早くも本命の菅氏に焦点を合わせた分析が始まった。「ヨシヒデ・スガとはどんな人物なのか」という研究であり、分析である。米側のメディアや学界の専門家たちの間で、この作業がかなり慌ただしく開始された。

「慌ただしく」というのは、米側には一種の当惑や驚きがあるからだ。米側にとっても、主要同盟国の次期首相が誰になるかが重大事なのは当然である。ところが今回は米側が長年、慣れ親しんできた安倍氏の辞任表明が唐突だった。そのうえ後任としてすぐに確実視されるにいたった菅義偉という人物は、米側では未知の政治家だった。もちろん安倍首相を補佐する官房長官としての活動こそ知られていたが、どんな出自の、どんな政見の、どんなタイプの政治家なのかは、まったくと言っていいほど知られていなかったのだ。

 菅氏自身が国際活動を展開してきた実績はないから、米側の官民との接触もほとんどなかった。安倍政権の有力で有能な黒子、という以上の認識は持たれていなかったといえる。