米ニューヨーク州の大陪審に起訴されたドナルド・トランプ氏(2023年4月4日、写真:ロイター/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 今回の米国のドナルド・トランプ前大統領の起訴という異様な事態が裏づけたのは、いまの米国政治全体の流れがトランプという1人の人物によって左右される、という現実だろう。

 2022年秋の中間選挙で、トランプ氏が支持した一部共和党候補が敗北したことから、「トランプ氏はもう終わった」との断定が広がった。だが、その見方はどうやら間違っていたようだ。

 なぜなら2024年の大統領選に向けて、共和党側ではトランプ氏がなお他の候補に大差をつける最有力の先頭走者だからだ。さらには、民主党側は今回の起訴にも象徴されるように、トランプ氏をなお最大の政治的脅威とみなし、8年ほど前の選挙戦にまでさかのぼって壊滅を図ろうとしている。

 トランプ氏がよきにつけ悪しきにつけ、これだけの影響力を発揮するのは、当然ながら同氏の主唱する政策を支持する米国民が今なお多いからでもあろう。トランプ氏自身やその政策に反対する側の勢いは確かに激烈である。だが最新の一連の世論調査でも、トランプ支持は米国民全体の3割、あるいは4割とも目される。

 そしてそのトランプ支持も、トランプ氏個人への支持だけではなく、トランプ氏が体現する政策や思考への賛同も大きい。

 ではそのトランプ氏の政策は現在の米国内でどのような状況なのか。