(古森 義久:日本戦略研究フォーラム顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
アメリカの政治を長年考察してきて、その政治を伝える主要な新聞やテレビの党派性による偏向をいやというほど実感させられた。国際報道では優れた実績を誇る大手の新聞やメディアのほとんどが、国内の政治の報道となると、もっぱら民主党支持に傾斜した偏りをみせるのだ。
民主党の大統領や議員に関する悪い出来事は決して大々的には報じない。無視することも珍しくない。逆に共和党側の政治家の動きにはきわめて厳しい姿勢をとり、負の部分を拡大して、なおかつ継続的に伝え続ける。
アメリカの大統領選挙ではほぼすべての新聞はどの候補を応援するかを「支持(Endorse)」という形で表明する。ただし厳密にはその支持は社説で表明する。新聞は他のニュース・メディアと同様にその機能を報道と評論の2つに区分する。少なくとも建前としてはそうである。
新聞社としてどの政党のどの候補を支援するかを明らかにするのは、そのうちの評論の部分、つまり社説での意見の表明ということになる。報道ではあくまで中立、不偏不党という立場を掲げるわけだ。