G20サミットで会談した米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席(資料写真、2022年11月14日、写真:AP/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国の首都ワシントンでは、中国との対立を「米中新冷戦」と定義づける動きがいよいよ目立ってきた。米国がかつてソ連と対峙したように、世界の覇権を争い、自国の存亡さえも賭ける必死の対決が中国との間でついに展開されるようになったという認識が顕著なのだ。

 この点については、民主党と共和党、リベラル派と保守派との認識の相違はほとんどない。米国はこの中国敵視策を具体的にどのように実行するのか。その展開は当然、日本をも激しく巻き込むこととなる。

中国がソ連よりも手ごわい敵である理由

 2023年春のワシントンでの国政論議で最も頻繁に聞く言葉は「China」である。

 ロシアのウクライナ侵略、そして国内ではドナルド・トランプ前大統領の政治動向も切迫した重大課題として熱っぽく語られる。だが中国をめぐる議論はそれらを越えて、政府レベルでも、議会でも、民間のシンクタンク、そしてニュースディアでも、幅広く、継続して展開されている。

 そんな議論のなかで最も集中的で精力的と思われる大手研究機関のヘリテージ財団での中国に関する研究発表と政策提言を紹介しよう。