15年12月22日、国連総会本会議で、11月5日を「世界津波の日」にすることが決まった。日本を含む共同提案国は142カ国に上った。この世界津波の日を主導したのは二階氏である。有志の議員たちとともに在京の各国大使を細かく回り、国連での採決を実現させたのだ。
二階氏が津波対策に尽力しているのは、和歌山県広川町の「稲むらの火」の物語の影響が大きい。1855年の安政南海地震が発生した際、高台に住んでいた庄屋が津波が来ることを察知し、稲わらに火を放った。村人たちは火事だと思って高台に集まって消火にあたったところ、村に津波が押し寄せた。庄屋の機転で村人たちは津波に飲み込まれずに済んだ――というエピソードである。二階氏は、地元の教訓を国連案件にまで発展させ、形にしているのだ。
媚中派、バラマキの批判が起きても翳り見えない政治力
中国に太いパイプを持つため、しばしば「媚中派」と批判される。国土強靭化については「実態はバラマキ型の公共事業だ」との指摘が絶えない。観光業界のドンであることから「GoToトラベル」キャンペーンをごり押している、との非難も浴びている。それでも、その政治力に翳りは見えない。選挙で勝利し、国会で法案を通し、政策面でも具体的に結果を出しているからである。
まもなく発足する菅義偉政権下で、二階氏は引き続き幹事長を務めるとみられている。“角栄超え”の史上最強の幹事長の出番はまだ続きそうである。