がん治療のヒット薬になった免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ」。小野薬品が骨粗鬆症薬として開発していた「ONO5334」は新型コロナの治療薬に化けるか?(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナ向けに進む既存医薬品の再活用

 新型コロナウイルスの新規感染者数は収まる気配が見えない。東京都では連日200人を超える新規感染者が報告されており、国内での新規感染者数は空港検疫などを含めると、累計3万人を超えた。ワクチン開発を含め、コロナを迎え撃つ薬剤の開発が急がれる。

 そうした中で、「リパーパス(re-purpose)」あるいは「リパーパシング(re-purposing)」と呼ばれる医薬品開発の手法が注目されている。リパーパスとは、既存の医薬品を異なる用途で再活用する方法のこと。医薬品開発は長期の時間がかかることが課題だが、リパーパスだと研究開発の時間を節約することができるのが特徴だ。

 既に承認された米ギリアド・サイエンシズのレムデシビルは、もともとエボラ出血熱の治療薬として開発されたものだが、新型コロナウイルスに効果があることが分かり、治療に活用された。日本でも、新型コロナウイルスの治療薬としてリパーパスの動きが始まりつつある。最新の動向を見ていく。