ワクチン開発に成功しても、ワクチンを接種してくれるかどうかは分からない。写真はインフルエンザのワクチン接種(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナワクチンの開発がハイペースで進んでいる。

 前回の記事で紹介したように、英オックスフォード大学の開発するワクチンは、1月の開発開始からわずか5カ月で最終段階の人を対象とした試験に突入した。他の米国や中国の研究グループも臨床研究を着実に進行させている上に、世界でも最大規模を誇るファイザーやグラクソ・スミスクラインといった巨大製薬企業もワクチン開発の進展を発表した。日本でも、大阪大学発ベンチャーのアンジェスの動きがかねて注目される。

 米国では「オペレーション・ワープ・スピード」と銘打って、3億回分のワクチンを2021年1月までに用意しようとしている。ワープするようなスピードでワクチンを作るということだが、すべてのワクチンが準備できたとしても、それで解決ということにはならないかもしれない。国内で広がる反ワクチンの動きだ。

 ワクチンに関して、国内外で最も関心があるのは安全性や有効性だが、米国にもワクチンの副作用を恐れる人々がおり、その数が膨らむ恐れがある。しかも、米国での動きを見ると、これまでのような「反ワクチン」という文脈ではくくれないかもしれない。大きく3つの論点に見ていく。