国内でも既存薬のコロナ転用が相次ぐ

 新型、再興型インフルエンザウイルス感染症向けの治療薬として認可を受けたアビガンは新型コロナに対する治療効果をうまく示せなかったと報告されているが、既存薬のリバーパス候補は続々と誕生している。

 国内では、日本医療研究開発機構(AMED)が音頭を取り、国家プロジェクトとして新型コロナ対策の医療技術開発を進めている。この中でも、リパーパスの活用が進められている。

 7月27日公表までの段階で、AMEDが進めている新型コロナ関連の国家プロジェクトには延べ532件の申請があり、98件が採択されている。課題の内容により、年3000万円から100億円の資金が、大学や研究所、企業の研究に注がれることになる。

 既に採択結果が分かっている中では、北里大学の研究グループがある。同グループは、寄生虫薬として使われてきたエバーメクチンおよびイベルメクチンを新型コロナウイルスの治療に応用する研究を進めると発表している。

 エバーメクチンやイベルメクチンは寄生虫の神経系に作用するので、ウイルスにどのように効果を発揮するのか、今ひとつ分かりにくい。北里大学の説明では、イベルメクチンにはウイルス自身が増殖する際に不可欠なタンパク質の処理を妨害する効果があるという。

 同じようにタンパク質に働きかける効果としては、前述したリパーパスについて研究している米国のグループからも、プロテアーゼ阻害薬という同様の働きを見せる薬が名を挙げられている。「プロテアーゼ阻害薬」は、新型コロナ治療薬のリパーパスではキーワードといっていいかもしれない。

 AMEDの国家プロジェクトには20件、企業が選ばれており、この中にもリパーパス研究が含まれている。典型的なのはエーザイだ。