新型コロナは今のところ6系統が存在する
新型コロナウイルスの新規感染者が再び増加している。国内における1日の新規感染者が2桁にとどまっていた5月から6月にかけての楽観的な状況は一変し、6月下旬からは3桁台が続いている。厚生労働省によると、1日のPCR検査の件数(結果判明日)が7月3日に1万件台を突破しており、検査件数の増加も感染者増の一因だが、感染第2波の到来といってもおかしくない状況だ。
現在、蔓延している新型コロナは世界を席巻している「欧州株」である可能性が高い。この7月には、NETFLIXのドラマ『梨泰院クラス』で知られる韓国のナイトスポット、梨泰院(イテウォン)で集団発生したウイルスが欧州株だと韓国で報じられている。
過去に日本ではPCR検査をめぐって賛否両論が交わされたが、検査拡大という方針は事実上、固まった。また、海外ではウイルスの持つ遺伝情報の全体(フルゲノム)を調べ、その進化を監視する動きが広がりつつある。日本ではまだあまり認識されていないが、新型コロナウイルスは6つのグループに分かれることが明らかになっている(Clade=クレードと称される、以下では系統と示す)。
中でも、急速に存在感を増しているのが、欧州で増加している「G系統」と呼ばれる一派だ。今では、さらに枝分かれして「GH系統」「GR系統」も登場している。韓国の梨泰院で発生したと報じられたのはGH系統だった。世界中で研究が進む中で、これらG系統の手強さも分かり始めている。今後のワクチンや薬剤の開発にとっても、それぞれの系統の実態の掌握が必須になる。
筆者は獣医師資格を持つ立場から、動物のコロナウイルスの遺伝子変異について伝えてきた。今回は、新型コロナウイルスの最新型である欧州株について、これまでに見えてきた課題と対策について考察していく。