米欧を中心とした世界各国は、「中国が新型コロナウイルス(コロナ)の発生と感染を隠していたために、各国に感染が拡大した」と中国政府を批判している。
米英独などの政府や民間機関が、中国政府に損害賠償を求める訴訟を起こしている。批判や訴訟が発生したことは、当然の流れだ。
中国がコロナの実態を隠していたから、各国が適切な対策がとれず、感染が世界中に拡大し死者数を増加させことは、重大な失策である。
私は、中国は各国への感染拡大を止める意思はなかったとみている。
そればかりか、各国に情報提供せずに油断させ、悪意ある意図を持って感染を拡大させたのではないか。そうだとすれば、世界を大混乱に陥らせた重大な犯罪だ。
コロナ発生から半年が過ぎた今、中国政府が行ってきたことが悪意ある意図によりなされたものであるかどうかを評価してみたい。
そして、コロナが世界に蔓延し、各国が混乱している発端は何にあったのかを明らかにするために、感染拡大状況、中国政府の政策、米欧豪日などの対応、およびWHO(世界保健機関)の発表などを時系列で分析する。
海外より国内の感染阻止を優先
中国では2019年12月8日、武漢でコロナ感染が確認された。その後、武漢市民に急速に感染が広まった。
特異なウイルスの感染を知った医者は、SNSでこの情報を公開したが、誤った情報を広めているとして、武漢政府から文書で注意を受けた。
それまでは、武漢政府が中央政府から叱責されないために、意図的に武漢の感染を隠していたこともあり得る。
だが、その後、感染が広まり、隠蔽するかしないかの話ではなくなった。
武漢の住民の話によれば、2020年1月12日頃には病院の呼吸器科病棟が許容量の限界に達し始め、一部の患者が受診や入院を断られるようになっていた。
この時には、すでに医療崩壊に陥っていた。