北朝鮮が弾道ミサイルを発射、その様子をテレビで見るソウルの人々。金正恩委員長のシルエットが浮かび上がっている(2019年、AP/アフロ)

 米CNNは当初、「金正恩委員長は、重大な危険に陥っている」と報道した。その後、「このことについて、政府関係者が注視している」とトーンダウンした。

 韓国外交統一委員会委員長は、「金正恩の身辺に異常がある。心血管の手術を受けたのは事実のようだ」と話した。

 デイリーNKは、「金正恩が香山診療所で心血管疾患の手術を受けた」とする情報を報道している。

 情報源が不明だが、植物人間説、死亡説およびその関連情報がある。

 これらの報道をまとめると、健康状態に異変がある、心血管の手術を受けた、さらに死亡したという情報まである。

 一方、韓国国家情報院や中国対外連絡部は、「健康異常説」を否定し、米国のドナルド・トランプ大統領は、「(重篤説)報道は誤っている、誰も確認していない」と述べている。

 今回の情報には、次のような特徴がある。

①北朝鮮が発する合成写真によって不在を隠蔽したこと

②韓国の政府関係者に肯定と否定の情報があること

③米国のテレビ局の報道で大統領が否定していること

④北朝鮮の内部情報を入手するデイリーNKが手術説を発信したこと

⑤発信源不明の重篤・死亡の情報が氾濫していること

 今、金正恩委員長の特異な動向に注目が集まり、その理由や評価に大きな隔たりがある。そこで、これらの情報を整理統合し、過去の事例、情報源の信頼性を含めて、総合的な観点から分析する。