世界が日本と同じ対応なら大パニックに

 中国国内の感染者は、1月末の時点で約1万人、2月4日に2万人、2月14日までに6万人を超えた(現実は中国の統計値よりも多いものと推測)。

 急激な増加であり異常事態だ。

 米国務省は1月末に「中国への渡航禁止」「中国からの渡航者の入国禁止」を決めた。

 2月7日に、米国のドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席が電話会談を行った際に、習近平氏は米政府が決めた渡航禁止について見直しを求めた。

 習近平氏は新型肺炎の感染拡大について「すべての国は過剰反応すべきではない」と言い、中国外務省報道官は「米国が恐怖心をつくり出し、世界に広めている」と、嘘で塗り固めた批判を行った。

 また、WHOは1月30日に同ウイルスについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、入国制限は勧告に盛り込まなかった。

 テドロス事務局長は、中国の対応を称賛したうえで「不必要な渡航・貿易制限を行う理由はない」「国際社会は過剰反応するな」と中国の主張に従うように強調した。

 2月3日、WHOの執行理事会は、中国代表は米国やオーストラリアなどがコロナ感染拡大阻止のために導入した中国からの入国制限や航空便停止について、「WHOの勧告に反する」と批判した。

 この時に、中国の悪意ある意見、さらにWHOがこれに従うように述べたことに対し、欧米各国は受け入れなかった。

 各国がもし従っていれば、世界の各都市が武漢で起きたことと同様のことが起き、各国は恐怖に怯えていたことだろう。危機一髪だった。

 また、テロドス事務局長は当初、「致死率は2%ほどだ」「新型ウイルスは致命的ではない」と危険性を指摘してこなかった。

 このことが、国によっては政治的決断を誤らせた。