発生から1カ月以上も経ったこの段階で、中国政府はコロナ感染が拡大し、武漢政府だけでは対応できなくなり、中国全土に広がりつつあることを知っていた。
そして中央政府としての対策を進めていたと考えていいだろう。
1月18日、北京の中央政府から派遣された専門家チームは武漢に到着し、翌日には北京に戻り、国家衛生健康委員会に報告した。
1月20日頃には、中央の北京、南の広東省、1月21日には北東部の大連にまで、感染が広がった。1月23日に武漢の閉鎖、24日には感染者は830人、死亡は26人に達していた。
もうこの時には、中国政府としては、極めて深刻な問題として取り上げられていた。したがって、この時点で当然、世界に警報を発するべきであった。
しかし、中国政府は、コロナの恐るべき実態を秘匿した。
そして、この時期には、多くの無症状のコロナウイルス感染者が春節で海外旅行をすることを十分に認識していたはずだ。
600万~700万人が海外旅行をすると見込まれていた。このまま放置すれば、各国に感染が広まって、大混乱が起きることは予想されていたはずだ。
それでも、眠れる獅子ではなく、眠ったふりをして、中国人の大量出国を止めなかった。そのため、各国に感染が拡大し、感染者や死者が大量に発生し、大混乱が発生したのだ。