発足以来一貫して中朝に接近しようとしている文政権は、日米から離れ、「レッドチーム入り」することが懸念されている。こうした状況では、いくら貿易管理の体制を高めても実行が伴わない恐れが強い。日本が輸出管理の在り方を「ホワイト国」前の状況に戻せるのはこうして懸念が晴れてからである。

輸出管理の問題が再び日韓の政治問題に

 日本が輸出規制強化の撤回に動かない場合、果たして韓国はどのように対応するだろうか。

 月末までに日本側の対応がない場合、韓国はWTO提訴手続きを再開したり、GSOMIAカードを再び取り出したりする可能性がある。新型コロナ対策で日韓ともに直近の経済の落ち込みが深刻となる中、日韓の対立が深まれば、経済にとってさらなる悪材料となるだろう。

 総選挙後の文在寅政権は、歴史問題でいっそう対日強硬に転じる可能性がある。

 文大統領は先の総選挙で、新型コロナを封じ込めた成果によってこれまでの3年間の失政を問われることなく、圧勝し政治的な主導権を握った。特に新型コロナの問題では、監視カメラの活用、電話基地局とクレジットカードの情報を提供させ、国民のプライバシーを犠牲にした強権的手法で新型コロナを封じ込めたが、これも国民の支持も集めており、いっそうの“独裁体制”を確立したと言ってよい。

 そうした独裁的手法を今度は日韓関係にも当てはめようとする可能性もある。これまで、慰安婦や徴用工の問題で日本と対立・譲歩を求めて来ても、日本が応じなかったためなす術がなかった。しかし選挙に勝利して強権的手法に味を占め、同様な手法で日本に対応することになれば、日韓関係はいっそうこじれることになろう。

 6月以降の輸出管理の問題で、文大統領がWTO提訴再開やGSOMIA破棄をまた言い出すようならば、日韓関係を取り巻く歴史問題にも暗い影を落とすことになるだろう。