第二に、新型コロナや米中の対立によって輸出が厳しくなっている韓国企業にとって、将来への不安を少しでも取り除きたいと考えた可能性だ。米中対立によって、米国の対ファーウェイ制裁がメモリー半導体にまで拡大すれば、サムスンとSKハイニックスが直撃を受ける可能性があるからだ。

韓国は戦略物資の管理をどう運用しているか

 しかし、日本側は制度の運用実態を見極めてから輸出優遇国に戻すかどうかを慎重に見極める対応だ。特に文在寅政権は日米韓の連携よりも中朝に寄り添う姿勢であり、戦略物資が両国に不正に輸出されている可能性が排除できない。

 そもそも日本政府が韓国に対する輸出規制強化に動いたのは、当初の3品目について不適切な再輸出の疑いをつかんだからである。また、戦略物資について「ホワイト国」から除外したのは、韓国から戦略物資が無許可で流出した不正輸出案件が韓国側の資料で明らかになっているからである。

 韓国産業通商資源部が国会議員に提供した資料によれば、2015年から19年3月までに156件の不正輸出があった。これは核兵器や生物化学兵器の製造に利用可能な物質を含むものであり、流出先は中国が最も多く、ほぼすべての東南アジア各国、ロシア、インド、パキスタン、イラン、シリア、アラブ首長国連邦などである。これらの中には北朝鮮との関係が緊密な国々がいくつも含まれており、北朝鮮にこうした物資が流れていれば日本の安全保障上大きな懸念材料となる。

 しかし韓国は、こうした物資が韓国からさらに北朝鮮に輸出されたのではないかとの指摘について、「日本が一方的に嫌疑をかけたものである」と反発している。ただ、北朝鮮に流れた疑いを晴らすべきは韓国であり、日本に反発するのは筋違いである。韓国はそもそも自主的にどの企業が関与し、どの国に再輸出され、何に使われたかの実態を調査し、日本に報告すべき問題である。

 日韓の政策対話の中で果たしてこれが行われたのか。行われていないとすれば、いかに組織や人員を強化しても、北朝鮮に強く寄り添い、中国には何も言えない韓国なのだから、「きちんと運用されているし、今後も運用されるであろう」と日本は確信できない。

 梶山経済産業大臣は記者団の質問に15日、「引き続き様々なレベルで対話していく」と答えたが、これは「韓国側の対応はまだ十分でない」との立場を明らかにしたものだ。