これまで、国内で政権に対する問題が持ち上がると、国内世論を宥めるため、韓国政府与党は「親日批判」と「反日」を利用してきた。こうした見地に立つと、日本の韓国への輸出規制強化の問題はこれまで固有の貿易管理の問題として通商当局の間で対話を進めてきたわけだが、そこで片付かないとなると、再び元徴用工問題の報復との議論にすり替えてくる可能性もある。それは日本としては看過できない事態となる。

 貿易管理の問題が燃え上ったのは1年前であるので、詳細を忘れてしまった読者も少なくないと思う。そこで、当時の経緯を含め、その後の対話、韓国における制度是正の動き、現在の両国の立場、そして残された問題について解説してみよう。

輸出規制強化の問題は韓国の杜撰な貿易管理を是正する問題

 韓国の成允模(ソン・インモ)産業通商資源部長官は今年の3月6日、日本が韓国に対する輸出規制の強化の理由として挙げた事項をすべて解消したとして、日本に規制強化措置の撤回を強く求めてきた。

 日本政府は昨年7月に半導体・ディスプレー材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材)の3品目の韓国への輸出規制を強化し、8月には輸出管理の優遇対象である「グループA(ホワイト国)」から韓国を除外した。日本はその理由として(1)両国間の輸出管理に関する政策対話が3年間開かれておらず、信頼関係が損なわれたこと、(2)通常兵器に転用される可能性がある物質の輸出を管理するキャッチオール規制の法的根拠の不備、(3)輸出管理体制、人員の脆弱性を挙げていた。

 成長官は、規制強化の撤回を求めるにあたり、「この5か月間、両国の輸出管理当局は課長級会議や局長級の政策対話などを通じ、韓国の輸出管理に関する法規定、組織、人員、制度などについて十分に説明し、両国の輸出管理に対する理解を深めて十分な信頼を構築した」と述べた。

 実際、韓国国会では、輸出管理の実効性を高める対外貿易法改正案が成立した。これによって戦略物資の輸出許可に関する条文に、大量破棄兵器とともに「通常兵器」も厳しく審査することを明記した。早ければ6月にも施行される。

 その後4月には産業通商資源部内に貿易安保政策官の下に30人規模の組織を設けた。