感染者は指数関数的に増えていく

 感染者から未感染者へ、接触によって伝染していくタイプの感染症は、多くの場合、感染者が倍々で増えていきます。

 例えば伝染の結果、感染者が1人から1週間で10人に増えると仮定しましょう。

 すると感染者は最初1人でも、1週後には10人に増え、10倍となります。2週後にはさらに10倍になり、100人に増えます。3週後にはさらに10倍の1000人です。

 これが倍々の増加です。「指数関数的」増加、あるいは「鼠算(ねずみざん)的」増加とも呼ばれます。

 この調子で増えていくと、8週後に感染者は1億人になり、その1日後には日本の人口を超えます。世界人口の78億人を超えるのは9週と6日後です。指数関数的増加は驚くほど急速です。

 もちろん感染者の数が人口を追い抜くことはありえませんが、もしも人口を超えて指数関数的な増加が続くと、何が起きるでしょうか。計算を続けてみましょう。

 感染者の平均体重を50 kgとすると、全感染者の体重は23週と13時間で地球の質量を超えます。太陽の質量を超えるのは28週と5日後です。その12週後には天の川銀河の質量は全て感染者の質量に消費されます。

 36週あたりから、感染者を含む領域がブラックホールになるおそれが出てきますが、これは感染者を外部へ高速で送り出すことで解決するものとします。

 感染者の平均体積を50 Lとすると、45週後には、全感染者を含む領域の拡大速度が光速を超えます。これ以上この増加率を保つのは原理的に難しく、ここが増加の限界でしょう。

 この時点の感染者は10^45(10の45乗)人です。1年もしないうちに、1万個の銀河が感染者の体重として消費されました。