「ロケットや衛星づくりを進める自治体は多い中、我々はモノづくりだけでなく、衛星データに注目しています。ハードウエア系とソフトウエア系が交わる領域。福岡県の強みはそこにあると考えています」と小野さんは力を込める。

 衛星データの活用事例は、まだ一般になじみがなく、開拓の余地がある分野と言っていい。福岡県産の衛星が取得したデータを、福岡県が有効に活用する事例を見せられれば「ソフトウエアの福岡県」をアピールすることにつながるのではないか。

「県が活用するなら、やはり『安心安全』がキーワードの1つになると思います。SAR衛星データは夜間や悪天候でも観測可能なので、災害時にも活用できるでしょう」

 その際に重要なのは人材の確保だ。

 QPS研究所のCEO大西俊輔氏にインタビューした際も、課題としてソフトウエア系の人材の確保を挙げた。この点について小野さんは「福岡県はITの人材を多く輩出していますが、その多くは東京などに流出してしまう。衛星打ち上げや活用を機会に、『かっこいい企業が県内にある』と伝わり、地元に留まってもらえる波及効果も生まれるのでは」と期待する。

 福岡県は2020(令和2)年度の予算として、宇宙ビジネス振興費を計上。「福岡県宇宙ビジネス研究会」を設置し、宇宙ビジネスへ参入するポテンシャルを有する企業を掘り起こし、参入促進に向けた産官学ネットワークの構築などを計画している。

「本格的な宇宙利用時代が到来する中、宇宙分野を牽引するスタートアップとしてQPS研究所に期待しています。今回の打ち上げをきっかけに、優れたハードウエア技術、ソフトウエア技術を有する県内企業が宇宙ビジネスに参入する機運が盛り上がることに期待し、県としてもこの機を逃さずに宇宙ビジネスの振興に着手します」(小野さん、金武さん)