中国の1~2月の原油輸入量は3月上旬に発表されるが、その数字が日量300万バレル以上の減少となれば、WTI原油価格が40ドル割れすることもありうる。

世界の金融市場、エネルギー市場が大混乱に

 原油価格の40ドル割れはこのところ不調気味になっている米国のシェール企業にとって大打撃である。

 2015~16年に発生した大量倒産の波が再来する可能性があることから、米国の金融市場では、シェール企業の発行比率が高いジャンク債に逆風が吹き始めている(2月5日付日本経済新聞)。ジャンク債市場に続き、信用度が低い企業への融資(レバレッジドローン)の証券化(CLO)市場も変調をきたすのは時間の問題である。

 過去10年近くにわたる金融緩和の結果、世界中の政府や企業、家計の債務残高は過去最大の250兆ドル(世界全体のGDPの約3倍)に達した(12月2日付ブルームバーグ)。中国のゾンビ企業が最たる例であるが、米国企業も過剰な債務を抱えており、好調さを維持してきた米国のクレジット(社債)市場が今後不調に陥ってしまう危険が高まっている(1月31日付ロイター)。

 新型コロナウイルスの感染拡大による中国の原油需要の大幅減少が、世界の金融市場、特に企業債務市場に大混乱を招く引き金となってしまうかもしれないのである。

 世界の金融市場が不調となれば、原油価格に対するさらなる下押し圧力が生じる。現在中東地域ではイラクやレバノンなどで「第2のアラブの春」が起きつつある。サウジアラビアなどの湾岸諸国は「ばらまき」政策を実施してアラブの春(国民の不満)を抑え込んできたが、ない袖は振れない。原油価格の急激な下落が、産油国の財政を逼迫させ、不安定な中東情勢の混迷はさらに深まることになる。中でも原油価格を引き上げるために自国の生産量を減らし続けているサウジアラビアの今後を考えると暗澹な気分にならざるを得ない。

 このように新型コロナウイルスの感染拡大は世界の金融市場だけではなくエネルギー市場に大混乱をもたらす「ブラックスワン」になってしまうのではないだろうか。