ロシアのノヴァク・エネルギー相は2月7日、「協調減産の拡大に同国が参画するかどうかを決定するには時間が必要である」と述べ、明確な立場を示すことを避けた。ロシアは追加減産ではなく、現行の減産の期間(今年3月まで)の延長を提案した模様である。

 サウジアラムコによる独占的な生産体制であるサウジアラビアと異なり、ロシアでは複数の会社によって原油生産が行われており、複数の石油会社は減産に対する不満を述べている。特に協調減産に批判的だった国営石油会社ロスネフチのセチンCEOは2月11日にプーチン大統領と会談したが、物別れに終わったようである。

 ヘッジファンドなどの投機筋の「売り」が優勢になってきており、OPECプラスがさらなる減産に合意できなければ、「WTI原油価格は数週間以内に1バレル=40ドル台半ばに下落する」との見方が出ている(2月9日付ZeroHedge)。

 OPECプラスと同様に世界の原油市場への影響力を高めた米国の足元の原油生産量は、日量1300万バレルで横ばいの状態になっている。米エネルギー省は2月11日、「今年の原油生産量見通しを従来の予測よりも10万バレル小さい日量1320万バレルとなる」との見通しを示した。昨年から続いている探鉱活動の低迷の影響が今年の春以降に表面化する可能性が高まっているようである(1月29日付日本経済新聞)。だがこれから述べる中国ショックを払拭するほどの規模になるとは思えない。

感染拡大が中国の原油需要を直撃

 需要サイドに目を転じると、21世紀に入り世界の原油需要を牽引してきた中国の動向に市場関係者の注目が集中している。

 1月23日から2月4日までの中国での航空便のキャンセルは5万件(全体の28%)を超え、中国の航空機燃料の需要は25%減少した(2月5日付OILPRICE)。ゴールドマンサックスは「航空燃料を中心に中国をはじめとする世界の原油需要は日量26万バレル減少し、原油価格は1バレル当たり2.9ドル低下する」と予測したが、原油価格の下落幅は既にこの水準を凌駕している。新型コロナウイルスの影響は、中国への渡航需要にとどまらず、中国の個人消費や企業活動の停滞にも及ぶことが必至の情勢になっているからである。