ウィーンで開かれたOPECプラスの会議場に到着したロシアのエネルギー大臣、アレクサンドル・ノヴァク氏(2020年3月6日、写真:AP/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所 上席研究員)

 米WTI原油先物価格は暴落し、2016年2月以来の安値で推移している(1バレル=30ドル前後)。2017年1月からOPEC加盟国とロシアなどの非加盟国(OPECプラス、世界の原油生産の4割超を占める)が実施してきた、原油価格を下支えしてきた協調減産の枠組みが、今年(2020年)4月以降に失効することになったからである。

まさかの「OPECプラスの枠組み」瓦解

 OPECプラスは今年1月から日量210万バレルの協調減産を実施してきたが、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大により、足元の世界の原油需要が日量400万バレル以上減少するとの見方が強まり、3月5日から6日にかけてその対応を協議した。

 2月の原油生産量を前月比51万バレル減の日量2784万バレルと11年ぶりの低い水準にまで減らしたOPECだったが、背に腹は代えられず、「減産幅を現在の日量210万バレルから360万バレルにまで拡大する」案を提示した。

 しかしロシアが難色を示した。「現行の減産を今年3月末から6月末まで延長する」ことに固執したことから、協議は物別れに終わってしまったのである。

 ロシアでは「減産を続けていれば世界の原油市場でのシェアを米国のシェール企業に奪われるだけだ」との懸念から、石油企業全社が減産幅拡大に反対したと言われている(3月7日付日本経済新聞)。米国政府が完成間近のロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン(ノルドストリーム2)の建設を妨害するとともに、プーチン大統領に近いとされるセチン氏がCEOを務める国営石油会社の最大手ロスネフチの関連会社に対して「ベネズエラの石油取引を支援した」として制裁を課したことで、国内で反米意識が高まっていたことも災いした(3月7日付ZeroHedge)。