北朝鮮は深刻な危機に陥っている可能性がある

「太陽と北風」のようなメッセージ

 3月4日、北朝鮮の金正恩委員長から韓国の文在寅大統領に「太陽」のような暖かい親書が届いたという。

 韓国の青瓦台(大統領府)は5日、文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が親書のやり取りを行ったと明らかにした。

 青瓦台の尹道漢国民疎通首席秘書官は記者会見で、「金正恩委員長が昨日(4日)、文在寅大統領に親書を送ってきた」として、「金正恩委員長は新型コロナウイルスと戦っている国民に慰労の意を伝えた」と述べた。

 また、「必ず乗り越えられると信じている。南の同胞の大切な健康が守られることを願う」と言及したという。

 そのうえで、尹氏は「金正恩委員長は文在寅大統領の健康を懸念し、心でしか伝えられない状況を残念がる気持ちを表した。文在寅大統領が新型コロナウイルスを必ず克服できるよう応援するとして、文在寅大統領に対する変わらない友情と信頼を表した」と明らかにした。

 これに対し、文在寅大統領は3月5日、金正恩委員長に謝意を盛り込んだ親書を送ったという。

 これとは真逆に、翌5日には金正恩氏の妹の金与正氏からは身を切るほど冷たい「北風」のようなメッセージが送られた。

 筆者が3月5日に「風雲急を告げる北朝鮮、金正恩に生命の危機か(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59581)」でも述べたように、与正氏は、北朝鮮の短距離弾道ミサイル(推定)発射に対して憂慮を表明し、発射中止を求めた韓国大統領府に対して、以下のような悪罵の数々を浴びせた。

「よその軍事訓練に口出しするとは居直りの極致だ」
「低能な考えで驚愕する」
「『生意気』で『愚か』」
「行動が3歳児並みだ」

 兄の金正恩氏の前で楚々と振る舞う与正氏からは想像もできない魔女と見まがうような激越極まりない言葉である。