宇宙はもっと膨張中?!
ハッブルの測定した宇宙膨張の「速さ」、つまり「何億光年離れた天体が何km/sで遠ざかっているか」という関係は、宇宙物理学において超重要です。これが精確に分かると、宇宙がどれほど昔に誕生したか、現在どれほどの大きさか、物質やダークマターやダークエネルギーがどれほど存在するか、といったことが分かります。
ハッブル以降100年近く、この測定精度を高める工夫と努力がずっと続けられています。
宇宙膨張の速さは、
(1)遠くの何らかの天体の距離を何らかの方法で測定する
(2)その天体の遠ざかる速さをドップラー効果で測定する
という原理で測ります。
これに最もよく使われている天体は、「Ia(いちえー)型超新星爆発」です。これは何億光年も離れていても見えるほど明るく、しかもその明るさが計算できる(と思われている)現象です。これを夜空に見つけて、その見かけの明るさを計算と比較すれば、距離が測定できます。
何年も前から、自動望遠鏡が夜空を監視して超新星をサーチするシステムがいくつも働いています。現在、超新星の報告のほとんどはそういう自動観測によります。
そうしてIa型超新星をたくさん観測して、宇宙膨張の速さを精密に測定したところ、過去よりも現在の方が膨張が速いという驚きの結果が得られました。宇宙膨張は加速しているというのです。
復活の宇宙項
相対論の方程式はさまざまな解を持ちますが、そのほとんどは、この宇宙にあてはまらない非現実的な解です。宇宙論の目標のひとつは、さまざまな解の中からこの宇宙を表わす解を探すことです。
宇宙膨張が加速しているとなると、現実的な解は加速膨張する解(のうちのひとつ)でしょう。