(小谷 太郎:大学教員、サイエンスライター)
2018年12月17日(協定世界時)、太陽からとんでもなく離れた新しい小天体「2018 VG18」の報告が人々を驚かせました。
「ファーアウト(Farout)」とニックネームをつけられたその天体は、現在、太陽と地球の間隔の120倍離れたところに浮いてます。ファーアウトは、「めっちゃ離れてる」「ぶっ飛んでる」といった意味です。
ファーアウトの軌道はまだ詳しく分かっていませんが、楕円を描いて太陽から離れていき、最遠で、太陽・地球間の約170倍のところまで到達すると見積られています。
ファーアウトはハワイ島マウナケアの「すばる望遠鏡」によって発見されました。太陽から遠い小天体は甚だ暗いので、すばる望遠鏡のような巨大望遠鏡が威力を発揮します。
人類は望遠鏡を手にして以来、遠方の新天体を星の数ほど見つけてきました。望遠鏡技術の進歩に伴い、太陽系の領域は広がってきたのです。
新惑星からファーアウトまで、これまで人々を驚かしてきた辺境の新天体たちを紹介しましょう。それは太陽系の拡大の歴史です。
天王星~初めて「発見」された惑星
1781年3月13日22時(グリニッジ標準時)、ドイツ系英国人天文学者ウィリアム・ハーシェル(1738-1822)は、口径16cmの手製の望遠鏡を覗いていて、太陽系の新しい惑星を発見しました。
ハーシェルは新惑星を、スポンサーであるブリテン王ジョージ三世に敬意を表して「ジョージ星」と命名しようとしましたが、幸いなことにその案は通らず、ギリシャ神話の天の神「Uranus」が採用されました。日本語訳は「天王星」です。ここで、惑星の名にはギリシャ・ローマ神話のキャラクターを用いるという規則が確立しました。