確かに、博多金塊強盗事件の主犯とされた野口和樹氏は、パリピで半グレであった。しかしこれは特殊な例であり、「パリピ=半グレ」ではない。報道による特殊の一般化という危険性を、パリピがイメージされた背景から危惧されるのである。

博多金塊強盗事件の報道

<野口容疑者の経歴などから当初は暴力団の組織的な関与なども疑われていた。

 しかし、実際に野口容疑者と他の容疑者とを結びつけたのは、繁華街やクラブで存在感を示す「パリピ(パーティ・ピープルの略)」と称される遊び人たちの人脈だった。

 事情に詳しい関係者は「野口容疑者と親しい六本木のキャバクラ経営者が、『パリピ』を自称する者が集まるサークルを主催しており、野口容疑者をはじめとする強盗団のメンバーが複数在籍していた」と明かす。さらに「芸能界とのパイプもあったようで、メンバーの1人は有名アイドルとの2ショット写真を自身のSNSに投稿。野口容疑者自身もクラブイベントの運営に携わっており、そこを通じて複数の芸能人と親交があったようだ」と証言する>(産経デジタルIZA 2017年5月30日)

「繁華街やクラブで存在感を示す『パリピ(パーティ・ピープルの略)』と称される遊び人たちの人脈」、記事は書きようである。「遊び人」というとイメージが悪くなるが、これはいつの時代にも存在する。例えば昔の原宿竹の子族もそうだし、ジュリアナに集った当時の若者もそうである。60~70年代頃はギターを担いでいると、不良であると色眼鏡で見られた。

 現代の「遊び人」の代名詞的言葉となっている「パリピ」とは、実は緩い括りで、大学生のイベサー(イベントサークル)を含むこともある。

 だが、こうしたパリピに否定的な報道を受け、お祭り騒ぎが好きなだけの一般人のイメージもだいぶ悪くなった。そこで筆者は、当の野口和樹氏との手紙のやり取りの中で、「パリピとはグレーな集まりなのか」と、直球で尋ねてみた。

以下、野口氏の回答を紹介する。読者目線から、読みやすさという点を考慮し、若干、筆者が加筆している。