政府も認める反社勢力の網羅的な確認の困難性

 政府は昨年12月10日、「反社会的勢力」の定義について「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定した。政府による「反社会的勢力」の過去の使用例と意味については「政府の国会答弁、説明資料などでの使用のすべての実例や意味について、網羅的な確認は困難」とした。

 つまり、日本政府が反社会的勢力は分かりにくいとお墨付きを与えてくれたことになる。菅義偉官房長官が先月の記者会見で「定義が一義的に定まっているわけではない」とも述べている(毎日新聞 12月10日WEB版)。

 筆者が考えるに、そもそも「反社」という括りの緩さが気になるところである。「闇営業」問題で懲りたと思うが、ちょっと反社の影が見えたら、その影を踏んだのが、故意であれ、過失であれ、国中が大騒ぎになる。この「反社という影におびえる混乱」は、当分、続くだろう。

 しかし、日本政府が「網羅的な確認は困難」と、お墨付きをつけたことは大きい。

 キリトリ報道によって「反社」とされたグループと接触を持った芸能人が謹慎や番組降板の憂き目にあったり、健全な活動をしていているにもかかわらず「グレーな団体」という負のイメージを持たれたりする可能性が減じるからである。反社と分からないのだから、過失の場合に限って――「反社と知らなければ」彼らとのツーショット写真もネタになる価値を有さないのである。

 パリピのリアルにつき、今回は、野口和樹氏の話と、彼の著書に書かれた証言をもとにお伝えした。それじゃあ、一方的じゃないかというむきもあると思うので、次回は、パリピ業界で、パーティ・モンスターと呼ばれるK氏に聞いた「パリピの実態」を報告する。