取材チームが向かったのは、福岡県久留米市。世界的企業ブリヂストン創業の地でありゴムの街として知られた久留米に、衛星開発のコアメンバーが集まっているという。
訪れたのは「オガワ機工」。副社長の伊藤慎二さんが出迎えて下さった。さっそく工場に足を踏み入れると・・・六角柱の銀色に光り輝く物体が、圧倒的な存在感を放っている。もしかしてあれが・・・!?
「2号機『イザナミ』の振動試験モデルです。フライトモデル(実機)と形と質量は同じですが、電子機器類の代わりにアルミの削り出しで質量を合わせています。フライトモデルも並行して製作を進めていて、そろそろ組み立てを開始します」(伊藤さん)
2号機は、初号機の開発過程で出た改善点を踏まえて、改良していく計画だ。例えば、太陽電池パネルの数が初号機の7面から、2号機では10面になり、SAR衛星が強力な電波を出すための電力を多く取り込めるようになる。
QPS研究所がパートナーを組む20社の中で、オガワ機工は初号機開発から中心的役割を担ってきた。
「機械設計と組み立てのとりまとめを担当しています。初号機開発は約1年半とめちゃくちゃ短くて、プレッシャーがすごくて。『衛星をやるんだけど』とQPS研究所さんから伺った時、アンテナの基本的なものはできていたが、その他は白紙に近い状態。アンテナをどう取り付けてどう動かすのかなど、みんなで考えて作り上げました」
2週間に1回はミーティング。「電源系も通信系も構造系も、全員で問題を共有して知恵を出し合う。2週間なんてすぐだから、最初は『また行かないといけない』と負担にも感じましたが、徐々に本当にみんなで作っているんだと『ワンチーム』を実感しました」(伊藤さん)